長年住まわれてきて古くなり傷みもあったマンションをリノベーションして住むことを前提に話を進め、ご購入からリノベーションまでお手伝いしました。

物件探しの段階で内見したのは全部で6件。

そのうち5件はリノベーションされて新築同様ピカピカのお部屋。

残りの1件は必要なものだけ持ってお引越しされたばかりで、リフォームもされていなければ不用品もたくさん残って足の踏み場を選んで歩く状態でした。

その中でこのお客様が選ばれたのは、唯一リフォームされていないこの物件でした。

【購入&リノベーション】
場 所  : 東京都板橋区
築年月  : 1999年(平成11年)7月
専有面積 : 約55平米
間取り  : 3DK
工事内容 : リノベーション
工 期  : 2ヶ月

■ 間取り ■

お客様からのご要望は3つ。

①ゆったり湯舟に浸かれるようにお風呂を広くすること。

②対面キッチンにしてリビングを見渡せるようにすること。

③収納スペースを多く確保すること。

▼新しい間取りのポイント

1)お風呂のサイズアップ1216⇒1417

2)洗面所を広くして収納スペースも確保

3)対面キッチンにして隣の洋室(3)まで見渡せること

4)主寝室となる洋室(1)の収納はウォークインクローゼットで収納力アップ

■ 浴室 ■

昭和から平成にかけての建てられたマンションにおいて、ユニットバスのサイズは「1216」が一般的です。

1216サイズというのは、浴室内の壁から壁までの寸法が1.2m×1.6mというものです。

浴槽の長さは1.2mとなるため、身長の高い人にとっては湯船に入って足を伸ばせなくなることがあります。

このお客様は、ご主人様が仕事の疲れをゆっくりお風呂で癒したいという強い希望があり、サイズアップするための間取りを考えました。

新しいお風呂は「1416」サイズ。

浴槽の長さが20cm長く大きくなりました。

(施工後)1416サイズへサイズアップ

浴槽が長くなったため、浴槽内にはステップが付きました。

全身肩まで浸かることもでき、ステップに腰を掛けて半身浴もできる浴槽です。

写真では分かりませんが、お風呂が冷めにくい「魔法びん浴槽」&洗い場の床は冷たくなく水はけがよい「ほっからり床」仕様です。

 

■ 洗面所は大きく間取り変更 ■

お風呂をサイズアップするために洗濯機置場の位置を含めて洗面所の間取りを大きく変更しました。

洗面化粧台の位置は移動していません。

当初は洗面台の左がお風呂の入口でした。

新たな間取りでは、洗面台の左は洗面所スペースとなり奥に洗濯機置場ができました。

壁には高さを変えられる可動式の棚を2段設置して収納スペースを確保。

天井には室内物干しを取り付け、洗濯後にその場で干せるようにしました。

洗濯機置場は、洗面所に入ってすぐ廊下に面した位置でした。

洗濯機置場は廊下から一番離れた奥に移動し、元の洗濯機置場は新たな収納スペースに変わりました。

 

収納上部は可動式の棚でタオルなどが収納でき、下部は扉をつけて埃が入りにくい収納にしました。

床は「ヘキサゴン」。六角形のフロアタイルはさりげなくオシャレで柔らかい雰囲気です。
(この施工は少々難易度が高いようですが、腕のいい大工さんがきれいに貼ってくれました)

 

■ リビング ■

リビング側から見るキッチン。

リビングの隣の和室が、リビング入口ドアより内側に出ているのが気になった一つのポイントでした。

鮮やかなネイビー色のアクセントクロスが印象的です。

リビングドアは奥様こだわりのセレクトで、格子のデザイン、ブルー系のカラーにブラックのドアノブとアクセントクロスにも負けない存在感があります。

リビングの隣には和室があり、間仕切りの開口は広くて一体感がありました。

角部屋のため窓も二面にあり広々感じる空間でした。

和室は洋室へ変更し、間仕切りは3枚の引戸にしました。

開口部は更に大きくなり、ドアを開ければより広いリビングとして一体的にも使える間取りになりました。

リビングドアからも真っすぐでスムーズな動線です。

 

■ キッチン ■

キッチンは壁付けで、冷蔵庫置場の壁と小さなカウンターでリビング空間と仕切られていました。

食器棚をおくスペースはなく、対面カウンターはあるものの収納スペースに物足りなさを感じる間取りでした。

吊戸棚の扉は外れたのか外されたのか分かりませんが、中古物件では珍しくない光景です。

給排水管を切り回して対面型キッチンになりました。

吊戸棚は付けずに天井までフルオープンのためリビングとの繋がりも感じられるキッチンスペースです。

キッチンに立ちリビングから隣の洋室まで見渡せる間取りになりました。

左の壁付けだったキッチンは右側へ移動して対面式に。

左側の壁には冷蔵庫と食器棚を並べられるスペースが確保できました。

奥の壁はお客様がこだわり抜いてセレクトされたタイル調のアクセントクロス。

フローリングとシステムキッチンとアクセントクロスの組み合わせが絶妙です。

 

■ 和室から洋室へ変更 ■

築20年以上経過した和室です。

クロスは壁の下も天井の角もすこし剥がれていました。

和室は洋室に変更しました。

白いクロスに白いドアで明るくなり、ここもまたお客様こだわりのブルー系のアクセントクロスが爽やかです。

和室には押入れ。

襖にシールが貼られて、実家の光景を思い出します。

押入れはクローゼットに変更しました。

リビングとの開口部も大きくなり、キッチンとも目線が合います。

 

■ 洋室(1) ■

主寝室となる洋室(1)。

天井が高くて数字の帖数以上に広く感じるお部屋でした。

ベッドのサイズと現地の広さを確認して間取りを設計しました。

収納を増やすためにクローゼット部分の間取り変更。

収納スペースを広げて、ドアはあえて付けませんでした。

ウォークインクローゼットの中にもダウンライトを新設。

ベッドで家族が寝ているときにこのダウンライトをつけても部屋の方は明るくなりません。

 

■ トイレ ■

トイレの一番のこだわりは「ヘリンボーン」の床。

汚れにも水にも強いフロアタイルを採用し、印象的なトイレができあがりました。

 

■ 玄関 ■

家の顔となる玄関。

雰囲気が大きく変わりました。

LED照明で明るくなった廊下。その先には奥様こだわりの存在感あるリビングドア。

白いドアにつけた黒の取っ手も印象的です。

玄関の床はコンクリート調デザインのフロアタイル。

玄関収納は既製品ではなく、現場でお客様と大工さんと打ち合わせをして完全造作型。

棚は可動式で効率よく収納できます。

右下の縦長スペースは傘用。トイレの床で余ったフロアタイルを張って濡れても大丈夫です。

玄関には姿見鏡を取付。お出かけ前に身だしなみチェックができますね。

鏡のサイズもオーダーして幅を広くして見やすくしました。

黒い手すりはお客様が用意されたものを大工さんに取り付けてもらいました。

 

 

今回の事例は、お客様が間取りもデザインもこだわり抜いて施工したリノベーション。

工事中に何度も現地に足を運んで実際にできていく新しい家の形を見ながら大工さんとも打ち合わせをし、

時には設計変更もしながら工事を進めていきました。

既にリノベーションされてきれいなお部屋もいいですが、

リフォームされていなくてもそのお部屋が持っているポテンシャルを見抜いて物件を選び、こだわりの住まいを作りあげられたお客様でした。

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